甘い食べ物は心の癒し。それはまちがいではありません。
しかし近年、砂糖の摂取量と生活習慣病との関連が注目され、シュガーレスやシュガーフリーといった食品が脚光を浴びています。
シュガーフリーとシュガーレス。
この2つの言葉の相違を中心に、砂糖のデメリットや代替商品について紹介いたします。
シュガーレスとシュガーフリーの違いとは?
まずは、シュガーレスとシュガーフリーの違いについて見ていきましょう。
消費者庁が公表している「栄養成分表示」を参考にすると(※1)、砂糖をはじめとする食材を含まない商品には「無〇〇」「〇〇ゼロ」「ノン〇〇」などの表示が許されるとあります。
いっぽう農畜産業振興機構によれば、「シュガーレスと名乗れるのは砂糖の量が食品100gあたり0.5g以下の場合」と定義されています。飲料に関しては、100ml当たりの糖分が0.5g以下であることが、シュガーレスと呼べる条件になります。(※2)
いっぽう、フリーシュガーと呼ばれることもあるシュガーフリーは、特に省庁によって規定がありません。
英語辞典で「sugar-free」と引くと「砂糖を含まない」という意味が表示されます。(※3)
例として「無糖コーラ(a sugar-free cola)」が挙げられていますが、無糖でも甘さは感じることができるこうした飲料には、砂糖ではないほかの甘味料が使われていることになります。
いずれの場合も、砂糖の量がゼロあるいは微量である食品ということでは変わりがありません。
日本人は砂糖をどれくらい食べている?
それでは私たち日本人は、いったいどのくらいの砂糖を消費しているのでしょうか。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によれば、成人の糖質摂取量は全エネルギー量の6.1~7.4%を占めていることが報告されています。(※4)これは、非常に注意が必要な糖質摂取量だそうです。
その量を具体的な数字で見ると、日本人の砂糖摂取量は1人当たり年間平均15.6kg。(※5)
アメリカ(31.4kg)や韓国(30.4kg)に比べれば低く見えます。また、世界平均(21.8kg)を下回っていることも、日本人としては喜ばしいことかもしれません。(※5)
しかし農林水産省では、砂糖の年間消費量が15kgを超えると、虫歯になる確率が格段に上昇することを報告しています。(※6)
世界の主要国の中では砂糖消費量が低い日本ですが、肥満や虫歯、生活習慣病の予防のためには、砂糖の摂取量には注意が必要なことはまちがいないようです。
砂糖の種類は?
ここで、砂糖の種類について触れたいと思います。
砂糖は、次の2種に大別されます。(※7)
・含蜜糖
糖蜜を含んでいるため黒色を呈しているのが特徴です。
強い甘み、独特のにおいがあり、ミネラルが多いことで知られています。
沖縄などで作られる黒砂糖、高級な和菓子に使われる和三盆は含蜜糖のカテゴリーに属しています。
・分蜜糖
糖蜜が分離されたうえで精製されるため、白色を呈している砂糖です。
日本でメジャーな白砂糖は、厳密には上白糖という名前で分蜜糖の1種です。
分蜜糖のひとつ三温糖は、上白糖やグラニュー糖を精製する際に残る糖蜜から作られる砂糖を指します。煮詰めてあるため、薄い茶色をしているのが特徴です。通常は、煮物などによく使われるのはご存じのとおりです。
しかし三温糖は、いわゆる残りものから作られるという工程を経るため、砂糖としての純度は低くなります。(※8)
味や風味が濃いため、上白糖よりもヘルシーなイメージがある三温糖、実は上白糖の延長線上にある砂糖なのです。(※9)
白砂糖・黒色砂糖のデメリット
白砂糖よりも体によいという印象がある黒色砂糖。
先にご紹介した三温糖は分蜜糖ですが、黒色砂糖の多くは糖蜜を含む含蜜糖になります。黒糖や和三盆、きび糖やてんさい糖がそれに該当します。
黒色の砂糖と白砂糖の相違は、ミネラルを含有しているか否かという点にあります。
食品成分データベースを参考にその違いを見ると、白砂糖にはほとんど含まれていないカリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄などが、黒砂糖には含まれていることがわかります(※10・11)
しかし、黒砂糖にもデメリットはあるのです。
それを熟知すれば、黒砂糖の摂取も注意できるかもしれません。
膣カンジダを引き起こす可能性
下半身の病気はそうでなくても不快なものですが、膣カンジダはその最たるものかもしれません。
膣カンジダは免疫機能が低下しているときに起きやすいといわれていますが(※12)、原因のひとつには糖の過剰摂取があげられます。(※13)
糖が尿に混じるとカンジダ菌も異常繁殖するため、一見すると健康に良さそうな黒砂糖や蜂蜜の摂取にも、気をつける必要があるのです。(※13)
老化を助長する
黒砂糖だからと油断して過剰に摂取すると、体内の機能やお肌の老化を助長する結果になりかねません。
糖は酵素を介さずにアミノ酸と結合すると、最終段階でAGEs(エイジス)と呼ばれる物質が生まれます。年齢を重ねるとこのAGEsが体内に蓄積されて、老化の原因となってしまうのです。(※14)
黒砂糖の摂取は内臓だけではなく、お肌や髪など、目につきやすい部分の老化も引き起こしてしまうことを、よく覚えておきましょう。
肥満や生活習慣病の原因に
砂糖はそもそも、体内に吸収されやすいという性質を持っています。
そのため糖分は体内でエネルギー源になるいっぽう、過剰に摂取されると肝臓や筋肉の細胞内に蓄積されていきます。(※7)
これが中性脂肪に変化して、生活習慣病を生みやすい状況を作ってしまうのです。また糖分の摂取で血糖値が上昇するため、糖尿病の人は特に気をつける必要があります。(※7)
糖分によるメイラード反応で生まれたAGEsは、老化だけではなく認知症や心筋梗塞、脳梗塞の原因となる可能性も指摘されています。(※14)
また黒糖の過剰摂取は、肥満や虫歯の原因になることはいうまでもありません。(※6)
依存性が高くなることも
黒砂糖をはじめとする糖分は、食べれば食べるほどもっと欲しくなるという悪循環を生み出すケースも多いようです。
ストレスフルな現代人にとって、甘いものの摂取は現実からの逃避。
しかしそれを積み重ねることで、甘いものなしの生活が困難な状況に陥ってしまう可能性もあるといわれています。(※15)
黒砂糖といえども砂糖は砂糖。
常識を持って適切な量を摂取し、依存症にならないよう気をつけましょう。
おすすめの砂糖の代替え品5選
農林水産省や厚生労働省もサイトで呼びかけているように、砂糖の摂りすぎはさまざまな害を生み出します。
それでは、砂糖の代わりとなる甘味料にはどんなものがあるのでしょうか。
それぞれの食材の特徴とともに、ご紹介いたします。
本味醂
砂糖の代替甘味料として使いやすいのが、本味醂です。
本味醂は、米麹、蒸したもち米、焼酎を原料に作られる、甘みのあるお酒です。(※16)
味醂を砂糖の代わりに用いるメリットには、まずカロリーの低さがあげられます。
白砂糖や黒砂糖100gあたりのカロリーが350~395kcalほどあるのに対し、本味醂は241kcalです。(※10・11・17)
実際砂糖の代替として使う場合は、本味醂の量は砂糖の1.5倍ほどにする必要がありますが、本味醂独特のまろやかさやコクは、砂糖とは異なる魅力があります。
和食などを作る場合には、砂糖の代わりに本味醂の甘さで上品に作るのも一興です。
はちみつ
砂糖の代わりとなる甘みといえば、はちみつを外すことはできないでしょう。
はちみつは、マグネシウムやカルシウムなどのミネラル類が豊富であるほか、近年の研究で殺菌や消炎、造血の作用が認められている点が摂取のメリットです。(※19)
砂糖には見られない、パントテン酸や葉酸などのビタミン類が含まれているのも嬉しいもの。(※20)
またカロリーの点においても100g当たり329kcalと、砂糖よりは少なめです。(※20)
とはいえ、カロリーは決して低いとはいえないうえ、はちみつの種類によっては独特のにおいがあり、砂糖の代わりとしては使いにくいタイプもあります。
みつ源となっている植物によって、栄養価も異なってくるのが蜂蜜の特徴。(※19)
自身の嗜好や健康に合わせて、はちみつを甘味料として上手に使ってみてください。
オリゴ糖
オリゴ糖は、別名を少糖と呼ばれています。
これは構成単糖類の数が少ないための呼称。そのオリゴ糖は、大腸まで届きやすい性質を持っているのが特徴です。(※21・22)
大腸までたどり着くたオリゴ糖は、ビフィズス菌を増やす作用があることが確認されています。そのため、整腸作用がある健康食品にも使用されています。(※21)
オリゴ糖の甘さはまろやかで優しく、砂糖ほどの強さがありません。オリゴ糖の甘さに慣れれば、通常の砂糖では甘さが強すぎると感じられるかもしれません。
注意点もあります。
オリゴ糖本来の甘さは繊細過ぎるため、しょ糖やブドウ糖などを加えた商品も数多く出回っています。オリゴ糖を購入する際には、人工甘味料が加えられていないか確認することを忘れないようにしましょう。
羅漢果
中国清朝の医師、羅漢によって漢方に使用されたことからこの名前がある羅漢果。
羅漢果から作られる甘味料は、砂糖の300倍の甘さを持つことで知られています。中国の桂林を中心に栽培される羅漢果は、その甘さゆえに100%植物由来のナチュラルな甘味料を作ることが可能なのです。(※24)
また、羅漢果の甘味料はカロリーがゼロのタイプも数多く存在します。(※24)
羅漢果は、通常の砂糖に比べるとお値段が高いのが玉に瑕。
しかし顆粒タイプだけではなくシロップタイプも常備しておけば、お菓子やお料理を作る際にも重宝するかもしれません。
甘酒
意外と思われるかもしれませんが、甘酒も砂糖の代用となります。(※25)
「飲む点滴」の別称もある甘酒は、米麹の酵素作用を利用してデンプンを糖化することでできる甘い飲み物です。(※26)
甘酒は近年世界中で注目される発酵食品のひとつ、アミノ酸やビタミンB群を豊富に含むという特徴があります。(※27)
森永製菓の研究によれば、甘酒を摂取することで目の下のクマを解消できたり、肌や髪に艶が出てきたなどの効果が報告されています。(※27)
甘酒はその形状から、砂糖の代替としては使いにくいかもしれません。しかし、肉を柔らかくしたり照りを出したりという作用もあるため、工夫をすれば料理に応用することは難しくありません。煮物等にも上手に使って、甘酒の効能を取り入れてみてください。(※28)
まとめ
シュガーレスやシュガーフリーという言葉が闊歩するここ数年。
消費者庁はシュガーレスと名乗る商品については、砂糖の数値を定めています。
シュガーフリーも砂糖がゼロに近い商品を指しますが、そうまでして砂糖の消費量を減らす必要があるのは、砂糖が私たちの健康にもたらす弊害が無視できないからです。
ヘルシーなイメージのある三温糖や黒糖も、例外ではありません。
とはいえ、甘いものすべてと決別するなんて非現実的です。
代替となるさまざまな甘味料を上手に使って、おやつや朝食に甘みを取り入れてみてください。
オーガニック・マクロビ料理教室G-veggie
G-veggieはGrain(穀物)とVeggie(野菜)を合わせた造語で、人間にとって大切な2つの食べ物を、料理の中心にして自然に寄りそった生活をしていきたいという意味を込めました。
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参考文献
※1.消費者庁「栄養成分表示」
※2.独立行政法人農畜産業振興機構「糖に関する表示について」
※3.小学館ランダムハウス英語大辞典「sugar -free」
※4.厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2020年度版)炭水化物P.154
※5.製糖工業会「主要国の1人当たり砂糖消費量(2020年)」
※6.農林水産省「甘味(砂糖)の適正摂取方法」
※7.小学館日本大百科全書「砂糖」
※8.小学館デジタル大辞泉「三温糖」
※9.農林水産省「砂糖の種類」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/kansho/kakudai/manabu/sugar_type.html
※10.文部科学省「食品成分データベース: 砂糖及び甘味類/(砂糖類)/車糖/上白糖」
※11.文部科学省「食品成分データベース:砂糖及び甘味類/(砂糖類)/黒砂糖」
※12.平凡社世界大百科事典「カンジダ」
※13.株式会社ダイセル 「膣カンジダ」予防するための8つの食生活・生活習慣
https://wellmethod.jp/vagina_candida/
※14.小学館日本大百科全書「メイラード反応」
※15.新宿ストレスクリニック「甘いもの好きな人必見!砂糖依存症について」
※16.平凡社世界大百科事典「味醂」
※17.文部科学省「食品成分データベース: し好飲料類/<アルコール飲料類>/(混成酒類)/みりん/本みりん」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=16_16025_7
※18.宝ホールディングス株式会社「砂糖大さじ1(15ml)の代わりに本みりんを使うには、どのくらいの本みりんが必要ですか?」
※19.平凡社世界大百科事典「蜂蜜」
※20.文部科学省「食品成分データベース: 砂糖及び甘味類/(その他)/はちみつ」
※21.旺文社化学辞典「オリゴ糖」
※22.株式会社幻冬舎「砂糖の代わりとなる「オリゴ糖」の摂取上の留意点」
※23.株式会社ダイセル「キッチンに砂糖は不要!医師が実践するシュガーフリー生活ってどうやるの?」
※24.サラヤ株式会社「ラカントとは」
※25.株式会社京乃晴れ姿「砂糖の代わりになる甘味料9選!選び方のポイントも解説します」
※26.小学館日本大百科全書「甘酒」
※27.森永製菓株式会社「甘酒」
※28.マルコメ株式会社「砂糖の代わりに糀甘酒を!料理研究家・あまこようこさんの新提案」
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