独特の香りを持つセロリ。シャキシャキとした食感も好ましく、セロリを日常的に楽しむ方は多いと思います。
食卓の主役になりにくいセロリですが、セロリの原産地では古代から香りや食感が愛されてきました。
セロリにはどんな栄養が含まれているのでしょうか。
その栄養はどのような効能があるのでしょうか。
セロリの保存方法や美味しい食べ方も含めて、特徴や栄養について解説します。
古代から愛されてきたセロリの歴史
セロリはどんな歴史をたどって私たちの時代にたどり着いたのでしょうか。
セロリの歴史を簡単に解説します。
欧州からインドまで!古代からあったセロリ
野性のセロリは中部ヨーロッパからインドまで幅広く存在していましたが、地中海周辺で栽培が広がったといわれています。エジプトではミイラの首飾りにセロリが使われていた例がありました。
古代ギリシアやローマでも、薬草や薬味として使用されていました。野菜として食べられるようになったのは16世紀ごろといわれています。
日本には、16世紀後半、豊臣秀吉の朝鮮出兵によってセロリが渡来したようです。しかしセロリの独特の香りは日本人には好まれなかったようで、野菜として普及したのは1950年代のこと。
現在は普通にスーパーで入手できるセロリ、日本の食卓に馴染むまでに時間がかかったことがわかります。(※1・2・3)
セロリが含む栄養と効能を知ろう
さまざまな料理に応用できるセロリ。
生のセロリ100g当たりの栄養の量と、期待できる効果を説明します。
セロリに含まれる栄養
生のセロリ100gには、どんな栄養がどのくらい含まれているのでしょうか。
食品成分データベースを参考に、カロリー量とともに見てみましょう。(※4)
栄養・カロリー | 量 |
カロリー | 12kcal |
食物繊維 | 1.5g |
カリウム | 410mg |
βカロテン | 44μg |
葉酸 | 29μg |
ビタミンC | 7mg |
セロリを食べるとどんな効果が期待できる?
セロリはカロリーが低く、さまざまな栄養が含まれています。
とくにあの独特の香りの原因になっているのが、「アイピン」という成分。アイピンはイライラを解消して、気持ちを落ち着かせてくれる働きがあります。また胃液の分泌を促して、食欲を高めてくれる効能も。ストレスで精神的にダメージを感じたときは、セロリがお役立ちかもしれませんね。(※5)
そのほかにも、セロリには有効な栄養がたくさん含まれています。
食物繊維やビタミンCも、ストレスにさらされる現代人には大事な栄養素。
食物繊維は腸内環境を整えてくれますし、抗酸化作用のあるビタミンCはお肌や髪の健康を守ってくれます。PCやスマホで弱っている目には、βカロテンの出番です。βカロテンは視覚機能だけではなく、皮膚の健康にも寄与してくれる栄養。
葉酸は動脈硬化予防が期待できますし、カリウムは塩分をとりすぎた場合に活躍してくれます。つまり、生活習慣病の予防につながるわけですね。
セロリに含まれる栄養は、健康の維持に大いに役立ってくれることがわかります。(※5)
セロリの生産地と品種
スーパーに行けば必ず見つけられるセロリ。セロリの主な生産地はどこでしょうか。
またセロリには、いくつかの品種があります。それぞれの特徴を知って、美味しいセロリを購入しましょう。
セロリの生産地
セロリの主要生産地は、長野県と静岡県。この2県のセロリの生産量が、全体の生産量の6割を占めています。長野県では6月から11月中旬、静岡県では11月から6月の出荷量が多いため、ほぼ通年で入手できる野菜になっています。
こんなにある?セロリの品種
セロリといえば鮮やかな黄緑色のタイプを思い出しますが、実はいくつかの品種があります。(※3・7)
・中間種
スーパーなどでもっとも多く出回っているのが中間種です。そのなかでも「コーネル619」という品種が主流。アメリカのコーネル大学で育成されたため、この名前があります。
長さが40㎝ほどになるセロリで、日本では1~2本がばら売りされています。
中間種は茎の部分が柔らかいため、豆乳マヨネーズや塩をつけて生で食べたり、お漬物にしたりして食べるのがおすすめ。
・緑色種
一般的にグリーンセロリと呼ばれるタイプで、その名の通り全体的に濃い緑色をしています。肉厚で香りも強い緑色種は、「トップセラー」や「ユタ」などの品種があります。
ヨーロッパではこのタイプが多く、におい対策として肉や魚料理に使用されます。中間種よりも小ぶりのため、「ミニセロリ」と呼ばれたりします。
・白色種
一般的にホワイトセロリと呼ばれるタイプ。水耕栽培されていて、みつばのような形状です。茎は細く白い色が特徴。セロリ独特の香りが弱いため、セロリのにおいが苦手な人は白色種がおすすめです。代表品種は「ミニホワイト」。サラダやスープの具にして、美味しく食べることができます。
・欣菜(きんさい)
スープセロリと呼ばれているタイプ。東洋在来品種で、野生種に近いといわれています。デリケートな形状に似合わず、香りは強め。中華料理で炒めものにしたりスープの具にしたりします。
・サラダセロリ
スプラウトセロリと呼ばれる繊細な品種です。発芽後の芳香や柔らかさを楽しめ、豊富な栄養を摂取できるタイプ。サラダやおひたしとして食べられ、セロリの風味を十分にあじわえます。
・セルリアック
日本ではあまりお目にかからないタイプ。「根セロリ」とも呼ばれています。その名の通り、根の部分を食べるセロリで、ヨーロッパでは古くから愛されてきた野菜です。
ごつごつとした株のような形がユーモラスです。根の部分の皮をむき、茹でてスープにしたりシチューにしたり。西洋ではメイン料理の付け合わせとして登場します。
セロリの選び方と保存方法
茎の部分を食べることが多いセロリは、鮮度が落ちるとすじっぽく感じます。美味しいセロリの選び方をぜひ知っておきたいですね。
鮮度を保つ保存方法とともに、セロリの選び方を解説します。
新鮮で美味しいセロリの選び方
セロリを選ぶときは、茎が肉厚であることが条件。葉がみずみずしく鮮やかな緑色であることも、美味しいセロリを選ぶコツです。茎の色にも注目です。茎が白っぽい色の場合は柔らかく、緑色が濃いほど固めになることを覚えておきましょう。
また茎の部分は、アーチのような丸みを帯びているものがベター。水分を失ってスが入っているものは繊維が固い証拠。食べにくいので避けるようにしましょう。(※8)
セロリの正しい保存方法
セロリを買った後は、正しい方法で保存しましょう。
セロリは葉の部分から水分がなくなっていくため、葉と茎の部分を切り離して保存するのがおすすめ。それぞれ新聞紙にくるみ、ビニール袋などに入れるとみずみずしさを保てます。
冷蔵庫の野菜室に入れるときは、立てて保存します。
全体的にしんなりしているときは、しばらく水に浸けておくとシャキッとします。ただしあまり長くつけると、水溶性のビタミンCが流出してしまうことも。
セロリは鮮度が命。早めに消費するようにしましょう。(※3)
セロリの食べ方いろいろ!
セロリの食べ方はマンネリ化してしまうという方も多いのではないでしょうか。セロリの美味しい食べ方を、具体的な例とともにご紹介します。
セロリの食べ方いろいろ
セロリの具体的な食べ方をいくつかご紹介します。
・セロリは葉っぱまで食べきろう!
セロリは茎の部分を食べるというイメージがありますが、とくに葉の部分は栄養が豊富です。葉の部分は炒めものにしたりスープに入れたり、無駄なく使い切りたいですね。葉をみじん切りにして、スープの彩りとして最後に加えるのも素敵です。
葉の部分を食べ慣れていない場合は、お肉料理のスパイスとして使うのもひとつの手です。鶏肉のオーブン焼きなどを作るときは、香りづけのつもりでセロリの葉を添えてみてはいかがでしょうか。
・イタリア料理の基本としてセロリを活用!
イタリア料理の多くは、セロリと玉ねぎ、にんじんの炒めもの(ソフリット)がベースになっています。子どもも大人も大好きなミートソース(ボロニェーゼ)も同様。セロリと玉ねぎと人参のみじん切りを根気よく炒めたものに、挽肉やトマトソースを加えていきます。
とくにお肉やポテトの煮込みをするときにベースになる3つの野菜、セロリやニンジンが苦手なお子さんがいる場合は、フードプロセッサーで細かくしてもOK。ダイエット中ならば、たっぷりの野菜を加えてミネストローネにしても美味!
セロリの香りを十分に生かして、美味しい料理を作れます。(※10)
・セロリのつくだ煮や浅漬けも美味しい
セロリを早く使い切りたいと思ったら、つくだ煮や浅漬けにしてご飯のともにするのも一興です。
セロリの香りはごま風味や醤油味のつくだ煮にも、酢のきいた浅漬けにもマッチ。洋風にしたい場合は、ヴィネガーに漬けてライスサラダに加えるなどしてもおしゃれです。
・G-veggieのセロリ・レシピをご紹介!
納豆とセロリの蒸し餃子(コラム)
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ひよこ豆のテンペソテーセロリのタルタルソース添え(動画)
セロリとわかめのプレスサラダ(動画)
セロリとえのきのレモンスープ
最後に
セロリはヨーロッパを中心に古くから愛されてきた野菜。
独特の芳香は、薬味や薬草として使用されてきました。日本で普及したのは1950年代ですが、現在はごく普通に常備野菜としている人も多いでしょう。
セロリにはイライラやストレス解消をサポートしてくれる成分が入っています。さらに食物繊維やビタミンCなど、日常的に摂取したい栄養も豊富。
香りが苦手という人は、セロリの品種を選んだり調理に工夫をしたりして、上手に食生活に取り入れてみてください。
いつもと違う食べ方で、セロリの新たな魅力を感じられます。
最後まで読んでいただきまして、本当にありがとうございました。
それでは今日もお日様のように明るく笑って、お月様のように穏やかな気持ちで楽しい一日をお過ごしくださいね。
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<引用元>
※1.小学館日本大百科全書「セロリ」
※2.平凡社世界大百科事典「セロリ」
※3.独立行政法人農畜産業振興機構「今月の野菜 セルリー」
※5.飯田薫子監修『一生役立つ きちんとわかる栄養学』2019年、西東社刊
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