こんにちは、東京・蒲田のオーガニック料理教室G-veggieです。
健康を話題にした食材についての記述の中で「ケール」という言葉を目にしたことがある人は多いかもしれません。
とはいえ、決して日常的に食べる野菜ではありませんね。
数年前、ニューヨーカーたちのあいだでブームとなり知名度も上がったケール(※1)、実はあの健康ドリンクの原材料にもなっている野菜なのです。
美容や健康のためにお役立ち要素が満載のケールとはどんな野菜なのでしょうか。
その栄養価や効能、そして食べ方も含めて、ケールについてご紹介したいと思います。
ケールはどんな野菜?
まずは、普段はあまりお目にかかることがないケールという野菜について簡単に説明いたします。
ケールは、アブラナ科に属するキャベツの一種です。(※2)
キャベツと聞いて私たちがイメージする丸いものではなく、上に伸びる葉が特徴の野菜です。原産地はイタリアとされていますが、ケルト人によってヨーロッパ各地に普及したという歴史があります。(※3)
一説によれば、古代ギリシアにおいて葡萄酒の神に捧げられた宴の後、飲みすぎの諸症状を緩和するために食べられていたのだとか。寒さにも強いため、中世のヨーロッパではひじょうによく食べられていた野菜であったようです。(※4)
日本には明治時代に渡来しましたが、食用としては普及しませんでした。
実はケール、健康ドリンクの代表格である青汁の原材料なのです。(※2)私たちがケールの名を目にするのは、おそらく青汁が身近になったことが原因かもしれません。
ここ数年の健康ブームに乗って、野菜としても再脚光を浴びているのがケールというわけですね。
ケールの種類
ケールは栽培が簡単な植物であるため、家庭菜園で育てる人も多いようです。実は種類が多いケール、その主な種類を特徴とともに見ていきましょう。
カーリー・ケール
その名の通り、縮緬状の葉がカールしているのが特徴です。鮮やかなグリーンと相まってその形が可愛らしく、食卓を演出してくれるビジュアルを有しています。苦みもなく食べやすいというメリットもあり、サラダとして食べるのがおススメです。(※5)
コラード・ケール
ケールの中でも、葉に縮みがないタイプをコラードと呼びます。(※2)葉肉が厚く、丈が高く成長する品種です。青汁などの加工用に栽培されることが多いのがコラード・ケールです。(※6)
カーボロネロ
カーボロネロは、イタリアの冬の食卓にごく普通に登場するケールです。フィレンツェを州都とするトスカーナ地方の郷土料理スープに欠かせない食材でもあります。
他のケールと比較すると濃色であるため、「ネロ(黒色)」と呼ばれる事も。キャベツ種特有のにおいと厚い葉が特徴で、生食は不可能なので煮込み料理に入れてその甘さを楽しみます。(※7)
ケールに含まれる栄養素とその効果・効能
ケールに含まれる主な栄養素と、その効果効能について説明いたします。
βカロテン
ケールに含まれる豊富な栄養の中でも特筆すべきは、βカロテン。
文部科学省の食品成分データベースを参考に、その量をキャベツと比較してみましょう。
いずれも生100gあたりの数値です。(※.8・9)
ケール 2900μg
キャベツ 50μg
ケールに含まれるβカロテンの量は、実にキャベツの58倍!
βカロテンは、体内に入ると腸粘膜でビタミンAとなります。
ビタミンAは視覚や聴覚の機能を保持するだけではなく、肌や粘膜の上皮組織を健康に保つために必須の栄養素。タンパク質の合成にも一役買っています。(※11)
厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準」によれば、成人女性が1日に摂取を推奨されているビタミンAの量は650~700μg。(※12)ケールを食することで、その量は十分カバーできますね。
ビタミンC
健康と美容に寄与するビタミンC。
ケールにはどのくらいのビタミンCが含まれているのでしょうか。キャベツの含有量と比較してみましょう。(※8.9)
ケール 81mg
キャベツ 41mg
その差は歴然、ケールが含むビタミンCの量はキャベツの約2倍というわけです。
ビタミンCはなぜ、美容において重要な成分とされているのでしょうか。
ビタミンCは、コラーゲンの合成と強い関連があります。(※11)コラーゲンとはタンパク質のひとつで、健康な骨や皮膚を作るために重要な役割を果たしています。(※13)ビタミンCなくしては、このコラーゲンの合成が不可能なのですね。
ビタミンCはさらに、免疫機能を増強する働きがあります。(※11)
風邪の予防にはビタミンCといわれるゆえんです。
ビタミンE
強力な抗酸化作用を有するビタミン、それがビタミンEです。
ケールに含まれるビタミンEの量を見てみましょう。(※8・9)
ケール 2.6mg
キャベツ 0.1mg
ビタミンEの含有量もケールに軍配が上がります。その量、なんと26倍!
ビタミンEは体内でどんな働きをするのでしょうか。
抗酸化作用が強いといわれるビタミンEは、体内で酸素によって引き起こされる有害な働きを抑止する成分なのです。わかりやすくいえば、体内のさまざまな機能の老化を防いでくれる栄養、という感じでしょうか。(※11)
またビタミンEは、ビタミンAとビタミンCとともに摂取することにより相乗効果が高まるという説も。(※14)
ケールはこの点においても盤石、といえますね。
カルシウム
乳製品に含まれているというイメージが強いカルシウム、実は野菜や果物も内包しています。ケールが含むカルシウム量は以下の通り。(※8・9)
ケール 220mg
キャベツ 43mg
ケールのカルシウム量は、キャベツと比較すると5倍以上です。
カルシウムは、ミネラル成分のなかでも人間の体にとって特に重要な栄養素。骨や歯の健康には欠かせません。血液や神経内にも存在して、興奮を鎮める働きもあり。他のミネラル成分も一緒に摂取することで、より効率よく吸収される性質があります。
カルシウム不足は骨粗しょう症の原因となるため、厚生労働省もその摂取を奨励しているのです。(※15)
ちなみに「日本人の食事摂取基準」では、成人女性が摂取するカルシウムの理想量は1日650mg。(※12)ケールを食べることでかなりの量をカバーできます。
マグネシウム
マグネシウムも、カルシウム同様にミネラルの一種です。
ケールのマグネシウムはこちら。(※8・9)
ケール 44mg
キャベツ 14mg
キャベツが含むマグネシウムの量と比較すると、ケールの含有量は3倍以上にもなります。
マグネシウムの働きは、カルシウムと拮抗するように骨の形成を助けることです。(※16)
それだけではありません。
糖分や脂質の代謝のために、マグネシウムは不可欠なのです。また、タンパク質の合成の一助にもなっているため、カルシウムに比肩する重要度があることを認識しましょう。(※17)
マグネシウムの不足は不整脈や心疾患を引き起こす可能性もあるため(※15)、ケールを食べることで回避できる可能性があるのはありがたいですね。
食物繊維
近年は「腸活」などに必要な栄養素として注目を浴びている食物繊維。
その効果効能は多岐に及びます。
ケールに含まれる食物繊維量を、キャベツと比較してみましょう。
ケール 3.7g
キャベツ 1.8g
ケールの食物繊維量は、キャベツの2倍ということがわかります。
厚生労働省によれば、食物繊維は日本人に不足しがちな栄養素のひとつ。大腸まで到達する栄養素として、便通をよくするなどの腸内の環境を整えるにとどまらず、血糖値やコレステロールの上昇を抑止する働きも報告されています。(※18)
つまり、食物繊維は生活習慣病を予防するために大事な栄養素であることが認識されているのです。「日本人の食事摂取基準」によれば、理想的な1日の摂取量は18g以上。(※12)
ケールを摂取することで、この重要な食物繊維が取り入れられることは大きなメリットといえるでしょう。
ケールと青汁
キャベツと比較してもその突出した栄養量は目を見張るものがあるケール。
野菜の王様の異名に恥じない健康的な食材といえるでしょう。ケールの生食や料理への活用はまだ発展途上にありますが、ケールのさまざまなメリットは青汁に反映されているのをご存じでしょうか。
豊富な栄養素は捨てておくにはもったいないとばかりに、ケールは数十年前から青汁の主原料となっています。しかし独特の苦みやにおいが必要以上に強調されて、テレビ番組やCMの影響もあり、「マズいドリンクの代表格」として定着してしまいました。
数年前にニューヨークで大ブームとなって以降、まずいケールというイメージからの脱却を図るべく、青汁もさまざまな形に進化しました。
現在は栄養面のメリットはそのままに、飲みやすい青汁の商品も多くみられます。
また、青汁にはクロロフィルという抗酸化作用を持つ成分が含まれており、細胞の酸化を防いで老化や病気のリスクを低減する効果があるとされています。
解毒効果によって肝臓の働きをサポートする効果も期待できますので、春に活発に動き出す肝臓機能を高めたい方に、ピッタリの飲み物です。
ケールを食べるメリット
日本におけるケールの生産量は2000トンほど。
ほとんどが青汁の原料となるため、野菜として食べる量はごくわずかといわれています。(※19)
しかし、強い植物であるケールは自宅での栽培も難しくないようですから、野菜として食べるのも不可能ではないのです。
前項で説明したケールの栄養を参考に、なぜケールを食べるべきなのか、その理由を見ていきましょう。
1. 視覚や聴覚の維持
ケールの栄養成分のなかでも突出した含有量を誇るβカロテン。
このβカロテンが体内でビタミンAとなることにより、視覚や聴覚の機能の維持という効能が期待できます。(※11)スマホやPC、イヤホンなどの使用時間が多い現代人の私たちには、ありがたい効能ですね。
2. 美肌効果
ケールにはACE(エース)と呼ばれるビタミンが豊富です。ビタミンA、C、Eに共通する要素、それが抗酸化作用です。体内のさまざまな臓器の老化を抑止する抗酸化物質を取り入れることで、美肌を手に入れることが可能になるのです。
シミやしわなどの加齢による肌の劣化も、ケールが含む抗酸化物質によって効率よいケアができるというわけです。(※20)
3. 生活習慣病の予防
現代人が抱えるさまざまな生活習慣病。生活習慣病には特効薬はありませんが、体によいものを食べる習慣によって予防することは可能になるかもしれません。
ケールには、この生活習慣病が予防できる栄養素がたっぷり入っています。豊富な食物繊維にはコレステロールや血糖値を下げる効果がありますし(※18)、ビタミンによる抗酸化作用によって動脈硬化やがんの防止も期待できるのです。(※20)
もちろん、ケールを食べたからといってすべての生活習慣病の問題を解決できるわけではありません。しかし、ケールを食べる習慣が健康に寄与してくれることは、栄養の数値が証明しています。
4. 骨粗しょう症の予防
女性に多いといわれる骨粗しょう症。厚生労働省によれば、骨粗しょう症はいくつかの工夫で予防することができるそうです。(※21)
その筆頭に上がっているのが、カルシウム不足の解消です。ケールはミネラル類にも恵まれた野菜ですが、カルシウム量もキャベツの5倍に値するほど豊富。
ケールを日常的に食べることで、骨粗しょう症予防の一助になるかもしれません。
5.腸活を助ける
近年よく耳にする腸活という言葉。腸活とは、腸内の善玉菌を増やして腸の環境を整えるだけではなく、体全体を健康へと導く現象を指します。(※22)
この腸活に必須の栄養素、それがケールにも含まれる食物繊維です。食物繊維は、肉食を好む傾向のある現代人には不足しがちな栄養でもあります。
キャベツを凌駕する量の食物繊維を含むケールを食べることによって、腸活を円滑にしてくれる可能性があるわけですね。
ケールの効果的な食べ方
ケールが体によいことはわかったけれど、どうやって食べればいいのかわからない。
スーパーで気軽に入手できるわけではないケール、それは当然の疑問ですね。ケールを効果的に食べるにはどんな方法があるのでしょうか。
まず、熱に弱いビタミンCなどの栄養を破壊しないで摂取するためにはサラダがおススメです。ただしケールの種類によっては生食に向かないものもありますから注意してください。(※19)
また、ケールに含まれるビタミンCは水溶性。パスタやリゾット、あるいはスープの具材にすることで、栄養を逃さずに食べることができます。和洋中いずれの味付けとも相性がよいケール、お味噌汁の具にするという手もあります。(※19・23・24・25)
ケールを最大最高に効果的に摂取するのならばドリンクがおススメです。
加熱しないため栄養素の破壊を免れるほか、スムージーなどにすることでよりたくさんのケールを摂取できます。またバナナやリンゴなど、他の食材と混ぜることで苦みやにおいの緩和も可能になるためです。
おやつ代わりのドリンクとして、ワインやフランパンが合うイタリア料理として、ケールは多彩に楽しめる食材。
ぜひ効果的に摂取してみてください。
ケール料理のレシピ
ケールとベリーのサラダ(4人分)
材料:
ケール 4枚(60g)
いちご 大12粒
アーモンドスライス 適量
作り方:
ケールは筋を取り、葉は一口大に切り、茎は斜めの細切りにしておく
苺は縦に四等分する
ボウルにケールと苺をのせ、アーモンドスライスで飾りつける
お好みのドレッシングをかけて召し上がれ♪
ケールのペペロンチーノ(4人分)
材料:
全粒パスタ 400g
ケール 4枚(60g)
にんにく(スライス) 4片
赤唐辛子(スライス) 1~2本
オリーブ油 大さじ8
塩・胡椒 適量
作り方:
ケールは筋を取り、葉は一口大に切り、茎は斜めの細切りにしておく
1%の塩を加えた湯でパスタを茹でる
フライパンにオリーブ油大さじ4とにんにく、赤とうがらしを入れ、中火にかける
にんにくがきつね色になってきたら、手早く半量を網じゃくしで取り出す。
取り出した揚げにんにくは、仕上げにふりかけるので、油をきっておく。
一口大に切ったケールを加え、いったん火を止める
再び中火にかけてトロッとするまで少し煮詰める。
ゆで上がったスパゲッティの湯をきって加える。
よくあえてフライパンの中の汁けをからめたら、味を見て塩、こしょうで調える。
水分が足りなければ、スパゲッティのゆで汁適量を加える。
器に盛り、4の揚げにんにくトレッドペッパーを散らす。
ケールのビシソワーズ(4人分)
材料:
ケール 6枚~7枚(100g)
えのき 100g
アマランサス 大さじ2
水600cc
無調整豆乳 200㏄
自然海塩 小さじ1と1/2
あおさ海苔粉 大さじ2
(飾り用)
かぼちゃの種
黒ゴマ
作り方:
えのきは石づきを切り、半分の長さに切る
アマランサスは、目の細かいザルで洗って水切りをしておく
鍋にえのきとアマランサ、具材がかぶるくらい水をいれ、弱火にかける
アマランサスが柔らかくなったらケールを入れる
ハンドミキサーにかけ、残りの水を入れて強火にかける
沸騰したら火をとめて豆乳・塩・あおさ海苔粉を入れ、よく混ぜる。
お皿に注ぎ、かぼちゃの種や黒ゴマを飾ってできあがり!
ケールのオーブン焼き(4人分)
材料:
ケール 8枚(120g)
オリーブオイル 適量
自然海塩 適量
作り方:
ケールは洗って良く水けをきり、一口大に切ってザルにあげておく
オーブンの天板にクッキングシートを敷き、その上に1をのせる
2に塩をふる
190℃に設定したオーブンで、5~10分くらい焼く
ケールの甘酒スムージー(4人分)
材料:
ケール 1~2枚(30g)
米麹甘酒 200㏄
無調整豆乳 300㏄
自然海塩 ひとつまみ
作り方:
材料をミキサーにかけ撹拌し、グラスにいれたら出来上がり♪
まとめ
日本では主に青汁の原料として知られているケール。
ヨーロッパでは紀元前から食べられてきた歴史がありますが、近年はニューヨーカーたちのあいだでブームとなり、食べる野菜として見直されています。
野菜の王様の名に恥じない豊富な栄養を含むケールは、生活習慣病の予防に効果が期待できるほか、美肌や整腸作用の一助にもなる要素が多数。
種類が多いケールですが、食べやすいケールと出会えればドリンクやサラダ、料理に活用し、その味を楽しむことができます。
マズい青汁のイメージを覆すその美味しさ、ぜひ食生活に取り入れてみてください。
安心&安全な旬のオーガニック食材を最大限に活かし、食べて心も体も中からキレイになるために、オーガニック・マクロビ料理教室G-veggieでは日本の伝統食「マクロビオティック」に基づいた、季節の料理法や味付けで料理する方法やバランスを上手に取る食べ方や暮らし方をお教えしています。
オーガニック・マクロビ料理教室G-veggie
G-veggieはGrain(穀物)とVeggie(野菜)を合わせた造語で、人間にとって大切な2つの食べ物を、料理の中心にして自然に寄りそった生活をしていきたいという意味を込めました。
自然の生命エネルギーあふれる「オーガニック食材」と、日本の伝統的な健康食の集大成である「マクロビオティック」は、身体だけでなく心も健康になれる料理法です。
バランスの良いオーガニック・マクロビ料理を実践して、美味しく食べて身体の中から健康でキレイになりましょう。
【心と身体がキレイになれる】
オーガニック・マクロビ料理教室G-veggie
〒144-0031 東京都大田区東蒲田2-5-11
Tel : 03-6715-8772 / fax : 03-6733-8760
Mail:info@g-veggie.com
参照元
※2.小学館日本大百科全書「ケール」
※3.平凡社世界大百科事典「ケール」
※10. 小学館日本大百科全書「ビタミン」
※11.平凡社世界大百科事典「ビタミン」
※13.平凡社世界大百科事典「コラーゲン」
※14.わかさの秘密「ビタミンE」
※15.厚生労働省「カルシウム」
※16.厚生労働省「マグネシウム」
※17.小学館日本大百科全書「マグネシウム」
※20.厚生労働省「抗酸化物質」
※22.腸内フローラを整える方法!腸活!
※25.ケールのお味噌汁
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